
ビデオゲームの進化の歴史はグラフィックの進化と言えるかもしれない。
小さなドット絵が大きくなり、アニメーションが付き、3Dの時代に入ると既存の何かを模写するようになり始めた。現実を、アニメをそのままに。
どれだけ忠実に現実を描写できるかという競争は、今なお続いている。それと同時に失ってしまったものがあるような気がしてならない。
「オクトパストラベラー」は今では多数の作品に用いられることになったHD-2Dの最初の作品だ。
8人の主人公、ジョブ、アビリティ、そしてドット絵。スクウェアRPG全盛期を知るものならば興味を惹かずにはいられない要素を盛り込んだタイトルが、今の時代に何をもたらしてくれるのだろうか?
「オクトパストラベラー」というRPGの扉を開いてみよう。
*Nintendo Switchでのプレイを元に記事を書いています。
ドット絵の進化とスクウェアの再現
旅先で見る見知らぬ風景は美しい。楽しい旅行も終わりいつもの見慣れた景色に帰ってくるとこみ上げる安堵感。
ファミコンから始まり、家庭用ゲーム機の進化とともに歳月を重ねてきた人間にとって、ドット絵というのは帰るべき故郷のようなものなのかもしれない。

オクトパストラベラーはドット絵の新たな可能性を見せてくれた。ドット絵に3DCGの画面効果を加えた表現は、実に美しい。
水が流れる。光が差し込む。風に舞う木の葉。霧に雪。自然現象を3DCGとすることで、ドット絵の中に空気感をもたらしている。

2Dと3Dという一見相反するような表現が、違和感なく相互に引き立て合っているのは見事としか言いようがない。
ドット絵が全盛だったスーパーファミコン時代、ドット絵と一口に言っても各メーカーによってグラフィックに違いがあった。
たとえば、2D格闘ゲームの2代巨頭だったカプコンとSNKではドット絵ではあっても表現の違いが明確だった。今は1つのゲーム会社になっている、スクウェアとエニックスもドット絵表現には明確な違いがあったし、任天堂、ナムコとそれぞれが独自の色を持っていた。
だからこそ、新作のゲーム画面が雑誌に載ったりすると、ドット絵の感じだけで「これはどこの新作ソフトだな」というのが直感的にわかったものだった。

多くのゲームがフォトリアルな表現を突き詰めている現代において、ゲーム会社のカラーというのは薄れつつあるように思える。
大別すれば、洋ゲーか日本のゲームか任天堂かといったくらいにしか、特徴を見いだすことができないだろう。そこに寂しさを感じる。
オクトパストラベラーのドット絵は、紛れもなくスクウェアのグラフィックである。

ファイナルファンタジー6を彷彿とさせるシチュエーションや、ドット絵のアニメーションに、当時を知る者なら懐かしさを感じずにはいられない。
ロマンシングサガ、聖剣伝説、SFC全盛期のスクウェアを知るオールドゲーマーなら、この作品のグラフィックに不満は出ないはずだ。
実際、多数の過去作がHD-2Dでリメイクされていることを考えれば、スクエニとしても手応えを感じているのだろう。

だが、同時に懸念も生まれる。「果たして、若い世代にこのグラフィックは響くのだろうか?」
私のようなオールドゲーマーには、懐かしさも伴ってものすごく魅力的に映る。しかし、プレイステーションなどの、3Dゲームが当たり前の中でゲームを始めた世代にはこの一見チープなドット絵というのはどう映るのだろうか?
若い世代に響かないのであれば、私が想像したように過去作のリメイクに使われるしかない過去の産物となるだろう。
きちんと若い世代にも評価されているのであれば、ドット絵のメジャータイトルでの立ち位置も明るいものになるだろう。
懐古主義的な扉ではなく、2Dドット絵の新たな可能性の扉が開かれたと願いたい。
ストーリー

オクトパストラベラーのストーリーは8人の主人公から一人を選び、ストーリーを進めていく流れになっている。最初に選ばなかった他のキャラクターはストーリー進行で出会うことができ、その際に別にストーリーを体験できるので、周回プレイを繰り返すことはない作りには好感が持てる。
ただ、あくまで他のキャラクターのストーリーを見ているという形になるので、仲間として同行していようが協力などはなくすべて自己完結で進んでいくのはさびしいものがある。(続編のオクトパストラベラー2ではその辺の改良がされているが)

一応キャラクター同士の掛け合いがないわけではないが、ちょっとした楽しみていどに考えておくのが正解だ。
途中まではそれぞれのストーリーでも、最終的にはみんなで何かに向かっていく流れだろうと思っていたら、肩透かしを食らってしまった。まぁ、その辺の不満は続編以降をプレイしてみてほしい。

ストーリーの展開として、1人のキャラを黙々と進めていくことは不可能に近かった。章立てされたストーリーはそれぞれ推奨レベルが設定されており、普通に1キャラの1章ををクリアしても次の推奨レベルに届かない。必然的に全員のストーリーを回ってレベリングが必要なシステムになっている。
特定のキャラのみのストーリーを追いたいと思っても実現するにはかなりのパワープレイになる。この辺も前情報で思っていたのとは違い、自由度があまり高くないんだなと思ったところだ。
バトルシステム

バトルシステムは同社のブレイブリーデフォルトを発展させたシステムとなっている。戦闘中にたまるブーストポイントを使うと、1ターンで複数回の攻撃が可能になるというのが最大のポイントだ。
敵にはシールド値が設定されており、弱点となる種類の攻撃を当てるとシールド値が削れるという仕組みになっている。この弱点が初期状態では隠されており、攻撃を当てながら推測したり学者のアビリティで見つけていく事になる。
シールドを削りきらないことにはダメージがろくに入らないので、いかに早くシールドを削れるか?が肝なのだが、ここに前述のブーストシステムがうまく絡んでくる。
シールドを削るためにブーストを使って削れば、シールド解除後にたたき込めるダメージは少なくなる。シールド削りとダメージ量を天秤にかけて、ブーストポイントを運用していくジレンマが楽しいのだ。
ただ、敵全員のシールドブレイクを達成したときには、何らかの特殊な攻撃があっても良かったのでは?と思う。ペルソナのような総攻撃的なものがほしかった。

というのも、雑魚戦でも敵はしっかりシールドを張ってくるので、レベルが上がっても簡単には楽に一掃とはなりにくい。そのシステム上、学者のサイラスがいるといないでは、バトルの快適性が変わるので、こだわりがなければ学者スタートをおすすめしたい。
シリーズ恒例となるチートシステム

各キャラに用意されているフィールドアクションもオクトパストラベラーシリーズの独自のシステムだ。
町の人を勧誘してパーティに加えたり、試合を挑んで勝てばアイテムが貰えたりする。中でもチート要素が強いのは盗むのフィールドコマンドだ。
フィールドコマンドはキャラのレベルに応じて成功率が上がっていくのだが、成功率が0でなければリセマラが可能になっている。
成功率が低いほどレアなアイテム持ちとなるが、リセマラを繰り返す根性さえあれば序盤から強力な装備を手にすることが可能になのだ。
このフィールドコマンドをうまく使うことで、ゲームの難易度は別物になる。

最近のRPGとしてはしっかりとしたレベリングと資金稼ぎが必要となるゲームなので、楽できる分は楽をして良いと思う。続編である2や0でもこのシステムは健在なのでリセマラを楽しめる心意気が必要になるかもしれない。
まとめ
オクトパストラベラーは現在の2DRPGの主流となったHD-2Dの元祖である。
後に続くシリーズ一作目ともあって、今ではストレスに感じる部分や腑に落ちない点もあるかもしれないが、名作だと思う。
今ではセールで2000円以下で売られたりしているので、続編の2と併せて手に取ってもらいたい。
スクウェアRPGで育った年代には間違いなく刺さるソフトである。
個人的ゲーム評価
8/10
